移行経済 Transition Economies/Economics of Transition
体制転換の路程を求めて
民営化された元国有製鉄所
(河北省遵化市)
(河北省遵化市)
移行のプロセスが事実上もっとも早く開始した中国ではすでに四半世紀、旧ソ連・東欧でも十数年の時間が経過しました。この間の各国の経済実績から二つのアプローチのいずれかの当否を論じることは、必ずしも現実的ではありません。東欧諸国の一部はビッグバン・アプローチに近い政策を採用して初期に強いショックを経験したのち、主として隣接する西欧からの直接投資の流入を通じて経済回復を成し遂げつつあります。一方、段階的な改革を進めたと目される国々のなかでは、未だに社会主義体制の看板を掲げ続ける中国が、9%前後というきわめて高い成長率を実現しています。しかし中国の改革を果たして漸進的と呼べるのかどうか、またそもそも中国の高成長を移行プロセスの「漸進性」に帰することが妥当かどうかについては、大いに疑問の余地があります。確かなのは、単純な自由化のみでは市場経済は発生せず、マクロ経済の安定性と、競争的な取引を支えるさまざまな制度インフラの整備が、スムースな体制移行に不可欠であることと考えられます。こうした認識に基づき、近年の移行経済研究の焦点は、企業統治制度、金融制度、財産権制度など、特定の制度イシューに移ってきています。
(今井 健一)












