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東アジア

中国・台湾各種センサス実施状況

中国の各種センサス実施状況

1949年の中華人民共和国成立以降、1981年に『中国統計年鑑』を出版するまで、中国は統計調査を実施していながら、その実施状況、結果とも殆ど公開しなかった。全国的調査の実施には相応な予算が必要であること、確実に実施された調査の情報があることから、その結果は、国家の政策決定機関や特定分野の研究者に限って公開されたものと考えられている。中国の代表的センサスの実施状況についてごく簡単にまとめてみた。

人口センサス
1982年に実施された第三回人口センサスが、分野を問わずセンサスとして初めて結果を公開されたものである。アジア経済研究所図書館では、当時29あった省・市・自治区のうち、24省の省別結果報告書を所蔵している。NACSIS-CAT上では当図書館しか所蔵していない。中国の人口問題を専門とする研究者からの寄贈されたコピー版だが、欠落部分のある複製版とはいえ、貴重な資料である。人口センサスについては、その後1987年に1%抽出調査が実施され、この結果報告からは外国でも報告書を入手し易くなった。1990年以降は西暦の末尾が0の年に全数調査、5の年には中間センサスとして抽出調査(2005年までの抽出対象は1%)が実施されている。1%抽出調査といっても、世界一人口の多い国のこと、1,300万人を超える人数になる。

農業センサス
1997年に第1回目の調査が実施された。初めての調査が第1回工業センサス(1950年実施)より50年近く後に実施されたというのは意外である。中国の農業問題、食糧問題は諸外国からも注目を受けていただけに、その結果発表が待たれていたが、一番早い結果報告書でも調査から2年余り経ってようやく出版された。調査項目には、牧畜業、林業、漁業も含まれているが、結果報告書ではあまり明確な形で扱われていない。むしろ郷鎮企業の事業のほうが大きく取り上げられている向きがあるのが特徴である。 2005年に行われた第2回の調査結果はまだ公開されていない模様である。(2009年3月現在)

鉱工業センサス
1950年に「第一次工業普査」が実施されたが、その結果は公表されなかった模様である。第2回調査は国連の支援を受け、1986年に実施された。

第三次産業センサス
サービス業のセンサスで初回調査は1993年に1991年から1992年を対象として実施された。

基本単位センサス
事業所センサスとほぼ同義で初回調査は1997年に1996年を対象として実施された。

経済センサス
2004年12月に初めて実施された経済センサスは工業センサス、第三次産業センサス、基本単位センサスを統合したもので、ここで中国の統計調査システムが改編されている。2004年に行われた初回の調査は、実施にあたり、各所に広告が設置されるなど事前準備も大々的に行われていた。当初の結果報告書は4冊セット(CD-ROM1枚付)のみであったが、省別結果報告書が順次発行されている。今後行われる調査のための基礎調査という位置づけである。

社会センサス
今回は表に含めなかったが、障害者に対する全国規模の抽出調査も実施されており、2006年4月に第二回調査が行われ、報告書が既に出版されている。

一般に中国のセンサス結果は、一度印刷した集計結果を政府関係者や研究者に限って公開し、その後販売のための出版が行われると言われている。研究者や政策決定に関わる政府関係者の間では「公開」とされていても販売はされておらず、図書館や書店、一般人の立場からは「非公開」の調査も含まれている。過去に遡るほど、当時の国内情勢を反映しその傾向が強まる傾向にある。「中国の各種センサス実施状況」は、利用者が直接資料にアプローチできるかどうかを基準に作表したものとご理解いただきたい。 実施された統計調査の内容については、複数の学術論文が書かれているので、研究者の手に委ねたい。

参考文献 石原享一「中国統計システムの改革」(『アジア経済』35巻8号(1994年8月))
(伊藤えりか)

台湾の各種センサス実施状況

台湾は東アジアで最も統計制度が整った国の一つである。太平洋戦争後、国内情勢が落ち着いたころから、台湾の政府は常に統計調査とその結果の出版に非常に力を入れる政策を執ってきた。これはセンサスが長期的政策に反映される性格のものであることも無関係ではない。特にセンサスについては人口センサスと産業センサスに重点を置き、基礎的調査事項をしっかり押さえるという調査方針を貫いている。調べられる限り、センサスの実施状況を簡単にまとめてみた。

人口センサス
国内情勢の安定した1956年から実施された。1970年以降は西暦の末尾が0と5の年に実施されている。

産業センサス
第一次産業である農業センサスのみが独立し、第二次・第三次産業が一緒に実施されているのが台湾の産業センサスの特徴である。

農業センサス
1956年から抽出調査として実施された。1970年代からは西暦の末尾が0と5の年に実施されている。漁業センサスは1964年と1975年に独立して実施された後、1980年の調査で農漁業センサスとなり、さらに1990年以降は牧畜業、林業も加えられて農林漁牧業センサスとして、現在に至っている。

工商業センサス
1954年に実施された初回から、工業と商業に対する調査が実施されてきた。1990年からは、サービス業も調査対象となっている。1961年以降、西暦の末尾が1と6の年に実施されている。

今回調べ切れなかった部分についての情報をいただければありがたい。
(伊藤えりか)